空港に着いたときから天気は荒れ模様だった。そりゃそうだ。石垣島に台風が近づいているという予報なんだから。それも2個・・・。激しい雨かと思えば、強烈な沖縄の太陽が時おり顔を覗かせる典型的な“台風日和”である。
戸隠高原は朝から快晴だった。空は青く、風は爽やか。そば屋の取材は昼前に終了。そこで、どこか気持ちのいいところはないですか、とお店の人に聞くと、教えてくれたのがこの鏡池だった。
本編にあるとおり、勝山市におもむいた椎名さんは「神社」という看板を見てハンドルを切った。到着して驚いた。樹齢数百年の杉の森に、石畳の広い参道が伸びている。思いのほか大きな神社だ。気の向くまま奥へ足を進める。と、苔むした境内に目をみはった。
「会津には大内宿があったよな。前に大内宿で食べた日本そばがうまかったから、また食べに行こうぜ」 今回の百年食堂はラーメンの取材だというのに、そこは「一日一麺」をする椎名さん。1日3食麺類でも大歓迎らしく、さっそく日光街道を南へ走った。
「そういえば、ぼくの新婚旅行は高山だったんだ。といっても、いちばんの目的は登山だったから、高山は通過しただけなんだけど(笑)。もう四十年近く経つのか。懐かしいな」
春の奥入瀬。新緑の澄んだ息吹を感じた。
「フードで風土記って駄洒落じゃないけれど、例えば長野県で食べる野沢菜とか、沖縄で飲む泡盛といったその郷土で味わう味わいは、同じものでも東京あたりで食べるのとは訳が違うよね。空気感っていうのかな、値段の高い安いに関係なくその土地の空気がその味を作っている。だから食を味わうってことはその土地の風土を感じるってことだと思うよ」